ドローンによる赤外線外壁調査のメリット①
2025年4月2日

赤外線カメラ搭載ドローンによる12条点検と大規模修繕計画への活用
マンションなどの外壁は、建築基準法第12条に基づく定期調査の対象となる場合があります。
タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く)、モルタル等の外壁については、手の届く範囲の打診等による定期的な確認に加え、一定の条件に該当する場合、おおむね10年に一度、落下により歩行者等へ危害を加えるおそれのある部分について全面的な調査が必要となります。
従来は、全面的な調査を行うために足場やゴンドラ、高所作業車、ロープアクセスなどを利用して打診調査を行う方法が一般的でした。
現在では、一定の条件を満たし、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する赤外線調査については、ドローンを活用して実施することも可能になっています。
↓従来の打診調査の様子

ドローンによる赤外線調査を大規模修繕計画に活かす
赤外線カメラを搭載したドローンを活用することで、建物や周辺環境などの条件によっては、全面調査のためだけに大規模な足場を設置せずに外壁の状態を確認できる場合があります。
ここで重要なのは、ドローン調査を行えば大規模修繕の周期を自動的に延ばせるということではありません。
大規模修繕の時期は、外壁だけではなく、防水、シーリング、設備、過去の修繕履歴など建物全体の状態や長期修繕計画を踏まえて検討する必要があります。
ドローンによる赤外線調査のメリットは、外壁の状態を把握するためのデータを取得し、「今どのような状態なのか」を確認したうえで、今後の修繕計画を検討するための判断材料を増やせることです。
例えば、外壁調査の結果、大きな異常が確認されなければ、その結果を今後の修繕計画を検討する資料として活用できます。
逆に、劣化が確認された場合には、大規模修繕の時期を待たずに必要な部分だけを先行して補修するという判断につながる場合もあります。
つまり、調査結果をもとに、建物の状態に合わせた維持管理を考えやすくなることがメリットです。
↓赤外線カメラ搭載のドローンで撮影した赤外線画像と可視画像の2分割画面
2分割画面

ドローンを活用することによるメリット
1.大規模修繕計画を検討するための判断材料になる
外壁調査によって現在の建物の状態を把握することで、今後の修繕計画を検討するための情報を得ることができます。
調査の結果、劣化が確認された場所については早期の補修を検討し、緊急性が低い場所については継続的に状態を確認するなど、劣化状況に応じて対応方法を検討できます。
大規模修繕の周期を単純に延ばすための調査ではなく、建物の状態に合わせた修繕計画を考えるための資料として活用することが重要です。
2.調査方法によってはコストを抑えられる
従来の全面打診では、建物の規模や形状によって足場、ゴンドラ、高所作業車などが必要になる場合があります。
ドローンによる赤外線調査が適用できる建物では、全面調査のためだけに足場を設置する必要がなくなる場合があり、条件によっては調査費用を抑えられる可能性があります。
ただし、建物の形状や周辺環境、撮影条件などによってドローン調査が適さない場合もあります。
また、調査によって異常が疑われる場所が確認された場合には、必要に応じて打診やその他の方法による追加確認を行うことも重要です。
3.外壁の状態を定期的に記録できる
外壁調査では、その時点で異常があるかどうかを確認するだけでなく、調査結果を継続的に記録することも重要です。
ドローンによる可視画像や赤外線画像を保存しておけば、次回調査の際に過去の画像と比較することができます。
例えば、
- 過去に確認された劣化が進行していないか
- 新たな異常が発生していないか
- 補修した場所に変化がないか
などを確認するための資料として活用できます。
定期的な調査と記録を組み合わせることで、外壁の変化を把握しやすくなります。
4.可視画像と赤外線画像を記録として残せる
赤外線調査では、外壁表面の温度分布を確認し、タイル等の浮きが疑われる範囲を調査します。
また、可視画像を同時に記録することで、ひび割れ、欠損、補修跡、汚れなどの外観情報と赤外線画像を照らし合わせることができます。
ただし、赤外線画像に温度差が現れたからといって、必ずしもその場所に浮きがあるとは限りません。
日射、外気温、風、建物の形状、仕上げ材などによっても表面温度は変化するため、適切な撮影条件と専門的な解析が重要です。
画像データを保存しておけば、過去の調査結果との比較や、補修範囲を検討する際の資料としても活用できます。
5.修繕時期や補修範囲を検討しやすくなる
ドローンによる赤外線調査によって外壁全体の状態を確認することで、どの部分に注意が必要なのかを整理しやすくなります。
例えば、
- 早期の対応を検討した方がよい場所
- 今後も経過を確認する場所
- 現時点では大きな異常が確認されていない場所
などに整理することで、補修や修繕計画を検討する際の判断材料になります。
大規模修繕の実施時期については、ドローン調査だけで決定するのではなく、建物全体の劣化状況や長期修繕計画などを踏まえて総合的に判断することが重要です。

ドローン活用の課題と対策
| 課題 | 対応の考え方 |
|---|---|
| 気象条件による影響 | 日射・外気温・風など、赤外線調査に適した条件を確認して実施 |
| 赤外線画像の解析 | 適切な撮影条件を確保し、可視画像や建物の状況と合わせて解析 |
| 飛行に関する規制 | 必要な許可・承認や飛行条件を事前に確認し、安全管理を徹底 |
| 周辺環境 | 隣接建物、道路、鉄道、第三者の立入りなどを事前に確認 |
| ドローンが使用しにくい場所 | 必要に応じて打診、ロープアクセス、高所作業車など他の方法と組み合わせる |
まとめ
赤外線カメラを搭載したドローンによる外壁調査は、一定の条件を満たせば、建築基準法第12条に基づく定期報告制度における外壁調査にも活用できます。
特に、
- 足場を使用せずに全面調査できる場合がある
- 調査方法によってはコストを抑えられる可能性がある
- 可視画像・赤外線画像を記録として残せる
- 過去の調査結果と比較できる
- 今後の補修や修繕計画を検討するための資料として活用できる
といった点がメリットです。
一方で、ドローンによる赤外線調査を行ったからといって、大規模修繕の周期を一律に延ばせるわけではありません。
重要なのは、調査によって現在の外壁の状態を把握し、その結果を建物全体の維持管理や長期修繕計画に活かすことです。
ドローン調査、打診調査、ロープアクセスなど、それぞれの調査方法には特徴があります。
建物の形状や周辺環境、調査目的に応じて適切な方法を選び、必要に応じて複数の方法を組み合わせることが、信頼性の高い外壁調査につながります。

↑ドローンで撮影が難しい場所はロープ点検を実施する事もあります

↑手カメラタイプの赤外線カメラ(地上から低階層を撮影するのに向いてます)
