12条点検について
2024年8月19日

12条点検とは
建築基準法第12条に基づく「12条点検」は、マンションやビルなどの建築物の安全性を維持するために行われる定期的な検査です。この点検の目的は、建物の外壁や構造部分に劣化や損傷が生じていないかを確認し、必要な修繕を早期に行うことで、建物の耐久性や居住者の安全を守ることです。
マンションなどの外壁は、日常的に風雨や紫外線、気温の変化などの影響を受けるため、長年にわたって使用されると劣化が進行します。外壁の劣化は美観を損ねるだけでなく、雨水の侵入による建物内部の損傷や、落下事故による危険性などを引き起こす可能性があるため、定期的な点検が重要となります。
12条点検の概要
12条点検は、定期報告制度の一環であり、通常「1号点検」と「3号点検」に分類されます。
1号点検
1号点検は、すべての建築物に適用される点検で、主に構造耐力や屋根、外壁、基礎部分が対象です。建物の耐震性や外壁のひび割れ、剥がれ、漏水の有無などを点検します。
3号点検
3号点検は、特定建築物に適用され、マンションなど多くの人が利用する建物の安全性を確保するために行われます。主に外壁や構造部分の状態、設備の状況などを詳細に調査します。
マンションの外壁に関する12条点検では、外壁のひび割れ、塗装の剥がれ、タイルやモルタルの浮き、コーキングの劣化などがチェックされます。特にタイルの浮きは、放置するとタイルが剥がれて落下し、事故につながる可能性があるため、重要な点検項目となります。また、外壁のクラック(ひび割れ)は、雨水の浸入を引き起こし、内部の鉄筋を腐食させる原因となるため、早期の発見と対処が求められます。
点検方法
従来の外壁点検は、足場を設置し、作業員が直接外壁を目視・触診して行う方法が一般的でした。これには、作業員が高所で外壁の状態を確認し、ひび割れや剥がれの有無、劣化状況を調査する手順が含まれます。この方法は確実である反面、コストが高く、点検作業に時間がかかるデメリットがあります。
近年では、技術の進化に伴い、ドローンや赤外線カメラを使用した点検方法が増加しています。ドローンは高所でも簡単にアクセスできるため、足場を設置する必要がなく、迅速かつ効率的に外壁の状態を調査できます。また、赤外線カメラを使用することで、外壁内部の異常やタイルの浮きを温度変化として検出することが可能です。これにより、従来の目視点検では見逃しやすい劣化の初期段階も発見しやすくなります。
点検の頻度
12条点検は、建物の規模や用途によって異なる頻度で実施されます。一般的には、3年から5年ごとに行われることが多いです。しかし、マンションの規模や所在地の環境によっては、より頻繁な点検が推奨されることもあります。例えば、沿岸部など塩害が発生しやすい地域では、外壁の劣化が早まるため、より短い間隔での点検が必要となることがあります。
修繕の必要性と計画
12条点検の結果、外壁に劣化や損傷が見つかった場合には、早急に修繕が求められます。外壁の修繕作業には、ひび割れの補修や塗装の再塗装、タイルの貼り替え、コーキングの打ち替えなどが含まれます。修繕作業を行うことで、建物の耐久性を維持し、さらなる劣化を防ぐことが可能です。
また、マンションの管理組合は、12条点検の結果をもとに長期的な修繕計画を策定することが重要です。特に、大規模修繕工事は多大な費用がかかるため、点検結果を踏まえた計画的な資金準備が不可欠です。これにより、突発的な大規模修繕を回避し、安定した管理運営を行うことができます。
まとめ
12条点検は、マンションなどの建物の安全性を確保するために欠かせない作業です。外壁の劣化や損傷は、早期に発見し修繕することで建物の寿命を延ばし、住民の安全を守ることができます。定期的な点検と修繕計画の実施によって、マンションの資産価値を維持し、安心して生活できる環境を保つことができるのです。